【紙は神なり・紙問題】

11月20日 日経エコロミー
政府購入のコピー用紙、古紙配合率70%に緩和
 http://eco.nikkei.co.jp/news/today/article.aspx?id=NN002Y553%2020112008

11月21日 共同通信(goo経由)
古紙原料に間伐材も利用 政府コピー用紙、配合率70%に
 http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2008112001000893.html

一見するといいことのように見えるけれども、ちょっと落とし穴があるぞ、というケース。

参考はこちら
11月28日 フジサンケイビジネスアイ
グリーン購入法のコピー用紙 古紙配合率基準100→70%に
 http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200810280035a.nwc

そもそも、情報源も基準づくりの主導権も、あの古紙偽装問題をやらかした製紙業界がリードしているのだから、信用も何もあったもんじゃあない。

>「間伐材はスギやヒノキの針葉樹が大半で紙原料に向かないとの意見は根強い」(環境省)という。フジサンケイビジネスアイ

>技術的に間伐材の配合率は1割が限度という見方もある。また大量生産の紙原料に使用するためには、間伐材の安定供給も課題だ。フジサンケイビジネスアイ

安定的に供給ができない分(70%再生原料+間伐材10%の場合、残る20%)を「どこから供給するのか」の提示があやふや。だいたい、原料サイドの認証制度はピンからキリまでさまざまだ。中には、森林破壊や生態系破壊が疑われる材料を混ぜている認証制度も、存在する。

一見いいことのように思えそうなものほど、まずは疑わないといけないというケース。
てか、なんで100%がダメだ、と業界が言い出したのかについても、先の古紙偽造のときにいろいろと噴出してきた通り、古紙100%だと使い勝手が悪いとか原料が中国に流れてしまうから費用がかさむだとか、そういう辺り。そこんとこ無視して100%の比率を落とせ、というのも、製紙業界にいいように使われすぎ。
不要な紙の削減だとか、あるいは再生原料にしたところで適正価格を適正に払う仕組みを理解するだとか(再生原料だから安くて当たり前、で買い叩いてきたツケが回ってきたという面はないのかな、これは)、本来取り組むべき部分をスルーするための「環境にいい手法」という言われ方をしていないかどうか、環境省ももっときちんと検討しないと。
あと、古紙100%が環境に悪いとかいう言い分は、アレ、大きく数字いじって出している話だから。純パルプを製造する際に出る不要物をボイラーで燃やして燃料にしているからその分二酸化炭素排出を削減しているよ、という数字をいじくってるだけ。温室効果ガス削減以外の環境影響は無視している上、その数字データそのものにも疑問がある。漂白云々に至っては、再生紙だけではなく純パルプも漂白作業が必須ということを無視して話しているとしか思えん(木肌色→白色という工程が必ず入るわけで、なんで再生紙だけ漂白が必要ということが過剰に強調されるのかを考えたほうが良いぞな)
(もっと参考→
01月30日 カメから学ぶ オトナのための環境術/その紙、原料は何ですか?
2007年06月26日 カメから学ぶ オトナのための環境術/大手マスコミはちゃんと取材をしとるんか
2007年06月14日 カメから学ぶ オトナのための環境術/タスマニアの森の話(其の壱)、など)

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